まもなく本番をむかえる劇団人間嫌い「服が腐る-2022AW-」。
一部の出演者たちに作家演出家の岩井を交え、座談会を行いました。
ファッションをやおしゃれについて語り合う姿を前後編でお届け!
今回は前編です。
(聞き手:制作 佐野木)
【参加者】(前段左から) 川勾みち、田村理子、村上桜佳 (後段左から)芦田千織、高坂美羽、藤真廉、岩井美菜子
佐野木:それでは自己紹介からお願いします。
藤真:はい、怪奇月蝕キヲテラエに所属しております、藤真廉と申します。今年26歳です。今回私がやらせていただくのはせいかちゃんというアパレル店員さんの役なんですけど、歳が近い大人の女性というところで共感している部分もありつつ、役作りにも苦戦しつつ、頑張っておりますが、私がめちゃめちゃこう、……地がド陰キャなので、あのーキラキラ系女子という……
川勾:そんなことないよ!
一同:(笑)
藤真:「キラキラ系女子()」みたいな感じなんですけど、なんかそういう自分が関わってこなかった人種ということで、共感する部分もありつつ、ここはちょっとよくわからんなという部分もありながらつくっている感じでございますが。ビジュアルもこだわりつつやっております。よろしくお願いしまーす。
一同:(拍手)
村上:はい、村上桜佳です。今回はまりなちゃんという、パタンナーを仕事としている同年代ぐらいの女の子の役をやります。そうですね、すごいしっかり喋ってたな、何言えばいいんだろう……
藤真:私の真似をしなくてもいいんだよ。
村上:あ、でも私もちょっとね、見た目あの、明る髪にしてまいりましたので、
川勾:明る髪かわいい(笑)
村上:ちょっと心にギャルを飼いながら……。私もそんなに派手な人生を歩んでこなかったので、それこそまあ……、今回美玲ちゃんって、今日はいないけど、サホちゃん(武田紗保さん:座談会は残念ながら欠席)がやる女の子と一緒にいるシーンが多いんですけど、私の友達の中に美玲ちゃんみたいな子が今までいない気がするので、美玲と対峙する人間はどういう人間なのか、みたいなのを考えながらやってます。よろしくお願いします。
佐野木:ありがとうございます。
田村:はい、俳優座という劇団に所属しています、田村理子です。私はきぬちゃんという大学生のアパレル店員役をやっております。きぬちゃんはとても素直な子だなというふうに思っていて、私は結構ひねくれたジメジメとしたタイプの人間なので、はーこんなに素直かー、どうしよう、ってなりながらやっているんですけど(笑)。でも素直がゆえにいろんなふうに流されちゃったり、人の意見に流されてみたり、でも素直だから、見てる側は共感しやすいんじゃないかなと思っていながら、やってます。
川勾:可愛いよね。
田村:うん、可愛い役なので、なんとか素直に可愛くできるように、ちょっとジメジメしたところを乾かしながら頑張っていこうかなと思っております。はい。
川勾:乾かすか、いい言葉だ。
佐野木:ありがとうございます。
川勾:ガソリーナというところに所属しています、川勾みちと申します。私が今回やるのは衣織ちゃんというアパレル店員の役でして、えーと、え? なんか私も結構陰キャなんですけど、みんな言ってるからマジでこれ陰キャ自慢みたいになっちゃう……。
一同:(笑)
川勾:ジメジメの集団(笑)だからそう、アパレルの店員さんとかが結構苦手で私は。お店とか入って声かけられると「あー、はい、あー、はい、買わないです」ってなるから、怖いな、どうしようかな、何もわからんなと思ってたんですけど。今回の作品では、そんなに接客のターンが私にはないっていうのもありつつ、だから苦手な人間と、苦手じゃない私との共通点とか、逆に「こういうところは人間みんな一緒だよね」みたいな。そういう何か共通点を探したり、いろんな人のことをよく見たりしながら作品を作っていけたらなと思って。今ちょっとずつそうしなきゃなって思っているところで。
そう、あと衣織ちゃんは服の匂いを嗅ぎ分けることができるという特異体質を持っていまして、なので「服が腐る」のタイトルはほぼほぼ私が「あ、その服は今腐っていますね」みたいなことを言うところから来ているところが多いです。なので服が腐るとか腐ってないとかはどういうことなのか、みたいなことが結構作中にいっぱい出てくるんで、その辺も楽しみにしていただけたらなと思ってます。
佐野木:ありがとうございます。
高坂:みんなすごい、しっかり(笑)。あ、あサルとピストルの高坂美羽です。えー、今回は藍という役をやります。ミニマリストのWebデザイナーということで。ミニマリストがマジで自分と正反対すぎて、今家がごっちゃごちゃの人間なので、まずそこから近づいていかなきゃって思ってるんですけど(笑)
川勾:マジでプレ稽古の頭に言ったやつだよね。
高坂:本当にやばい! って思って「ミニマリストか!まあでも憧れてたー」って思って。今憧れを胸に、藍ちゃんのように私もなってみようかなと思い、やっております。はい。
一同:(笑)
高坂:役作りと称して自分もミニマリストになろう月間……週間を……。
岩井:え、最後のおかしくない?(笑)
川勾:意外と週間なんだ。
高坂:ちょっとずつやっているところで……(笑)
岩井:これまでの方が長いんだよな。宣言してから、これからより。
高坂:まずね、藍ちゃんも(ミニマリストに)憧れて入ったっていう感じの噂を聞いたので、私も憧れから入ろうといろんな(本を)読んだり、YouTube見たりっていうのをしてたんです。本当に感化されて「やろう」って思ったんで。
川勾:すげえ。いいぞいいぞ。
高坂:ミニマリストになろう月間を始めようと思いまして。正直ゆるミニマリスト目指しつつやっていこうと思っています。よろしくお願いします。
佐野木:ありがとうございます。
芦田:はい。シホ役の芦田千織です。この舞台で多分唯一の……唯一でもないか、お客さん役で。
一同:たしかに……。
芦田:ほぼ1人で、とにかく買い物しまくる役、ということでした。私自身、買い物っていうよりは違うものに散財しがちなんですけど、役作りのために欲しいものをとりあえず買ってみたらどういうテンションになるか、っていうのを先月ぐらいにやってみた結果、ちょっと今、今月苦しいかも……。
一同:(笑)
芦田:ミニマリストになりたい気持ちになっちゃったり……(笑)。まあなってしまったっていう結果ですけど。でもそういうことなんだなっていうのが、後で台本読んでて、あ、なるほどなって思うことはたくさんあったので、まあ無駄ではなかったかなっていう感じです。
佐野木:なるほど。ありがとうございます。
##劇中の衣裳を、一から創り上げていく
佐野木:岩井さんは作演出ですが、今回はおおきな挑戦もしているんですよね。
岩井:私は生まれて初めてファッションデザイナーに挑戦している。
一同:ああー。
岩井:です!
村上:生地やら糸やらやらからね。刺繍やら。
川勾:もう、そんなとこから服作るんだと思って。
岩井:まず、ROUROUっていう中華街にあるブランドと一緒に衣裳を作らせてもらってるんです。まずパターンを選ぶみたいなところから始めてて、ただパターンをオリジナルで起こすといくら何でも予算がぶっ飛ぶので、ROUROUにある既成のパターンの中からこのパターンで作りたいです、みたいなところから始まり、その後、じゃあプリント入れたい、とか柄の生地作るとか、じゃあどういうふうな形で何かデザインしてこのパターンを、みたいなところを話して、ざっくり刺繍を入れるという方向が決まって。そこから刺繍の型探しみたいな。それもデザインイチから、ROUROUのデザイナーさんに起こしてもらうとかするとそれも予算ぶっ飛んじゃうから、過去にやったことがあるものみたいなところから引っ張ってきて。そこから布を選んで。刺繍の色は変えられるので、刺繍の色を決めて、刺繍の位置を決める。何かこの辺に入れたいですみたいなことをやって。っていうのがざっくりした内容だったんですけど。ほぼほぼデザイナーだなっていう、これをやったら。
川勾:稽古場で話を聞いて、服ってそんなにいっぱいあるんだ、って。作るために、こうやるんだっての知ってびっくりした。
岩井:思ったより無限の可能性がありすぎて、思った以上に何でもできるようになっちゃって。何でもできすぎて何をやろうみたいな。
川勾:楽しい?
岩井:楽しいけど、やっぱね。なんかやっぱ技術というか知識の足りなさを痛感した。
一同:へー。
川勾:いいねえ。
岩井:まず布をぱっと見ても、この布でどのぐらいのボリュームが出るとか想像ができないんだよね。普通の服がどのぐらいの硬さとか、どのぐらいの厚みで作られてるってことを意識してこなかったから、私が着てるあのワンピースのシルエットを出すにはどのぐらいの硬さを選んだらいいんだろうとか。刺繍の糸とか実際に刺繍に上がったときにどういう色味でくるかが想像ができない。今回糸3種類と、ベースの色の4種類を掛け合わせるという作業をするわけだけれども、それを脳内でイメージするってことができない。
一同:うんうん。
岩井:一生懸命こう、紙当てて、とか、何かデジタルでも色、カラー、イメージ起こしてもらって、とか。自分でも手書きで作ってとかいろいろやるけれども。やっぱセンスでやれるじゃんじゃなくて、やっぱプロの領域なんだなデザインっていうのは、とすごく思った。
川勾:いいね。確かに。
佐野木:ありがとうございます。その劇中で登場する衣裳を、今回は観客の皆様にも購入できるようにしようと、いま頑張ってます。
一同:(拍手)
佐野木:発表をお待ちいただければと思います。
藤真:アパレル店員の私らが売り込みに行くのよくないですか?
川勾:アパレルの動画やるか!
岩井:インスタライブやろう。
川勾:劇団のグッズの紹介のツイッターとかにさ、自分の作った服ですって出るって面白いね。
##腐った服のつかいみち
佐野木:先ほど川勾さんの役は腐った服を嗅ぎ分けることができるという特殊能力を持っているというお話でしたけれども、皆さん実際自分でも腐った服とか持ってらっしゃいます? 普段どうしてるんでしょう?
高坂:それこそ昨日やりました。
一同:おお。
高坂:マジでオフになって、よしやろうと思って、全部服を、全部とりあえず部屋に全部出して、こんもりして、それを全部仕分けたんですけど。自分がそんなにおしゃれ、ファッションにめちゃくちゃ興味があるわけじゃないから「着れる」「着れない」になって。
一同:うんうん。
高坂:逆に着れちゃうから、「着れる」がまたこんもりしちゃって、こんなにこんもりしただけって結局意味ないじゃん、が始まって「衣織さあん」って(笑)「腐ってないとダメですかああ」って気持ちになりながら頑張って減らすっていう作業を昨日して。まあ、何とか減ったけど、本当はもうちょっと減らしたい……たかったなっていう状態に今落ち着くっていう、感じにはなった……
佐野木:腐った服を減らしていく。
高坂:減らしていく。ミニマリストになるためにとりあえず服から始めようと思って。
岩井:ミニマリスト服から減らすって言いますよね。
川勾:いやマジです全然服多い。全然捨てられん。
藤真:捨てられない。
一同:うん。
##着れる服はいっぱいあるのに、着る服がない。
岩井:人によってさ、持ってる枚数が全然違うのが多分一番服じゃない?なんか家にさ、40本も包丁ありますとかないじゃん。まあ2、3本みたいな平均値があるけど、服って多分平均値がさ、平均じゃないよね。
一同:うん。
村上:幅がね。ありますよね。
川勾:私腐った服多分いっぱい持ってる気がするんだよな。私全然パンツを持ってないって思っててだからなんとなく着れるとか、普段外に履いていくな、みたいなパンツが2、3本あるだけ。でもパンツ自体は結構持ってるってことに最近気づいて。服を仕分けてこの辺を「Tシャツ」この辺を「ズボン」みたいな感じで分けていったときに、「いやめっちゃいっぱいある」って思って。でもこれ全然履かんみたいなやつばっかりだし、でもそれを全然履いてないから捨てようかなって思って1回履いたら思ったより似合って、これもうちょっと……。
藤真:めちゃめちゃわかるー!
川勾:案外いけるねーつって置いといちゃうから全然……。でも腐ってると思うんだよなあ。でも腐ってないのかもしれない、みたいなこと、最近思う。すごい。難しい、だから。
村上:なんか腐ってると思ったら、意外とまたブームが自分の中で来て最近これ着てんだよねみたいなのもあるし……。
田村:マジでそう。
村上:本当に上京してから服が増えすぎていて。家に引き出しがまず足りてないから、入りきらない、きってない、積みあがってる服があって、でもこんなに服があるのに、なんか毎日「えっ着る服がない!」って。
一同:わかる!
藤真:毎年なる。
村上:そう。いっつも、毎年なるし、それってでも多分どこか奥の方で服を腐らせてるからなのかなって。だって着れる服はいっぱいあるのに、着る服がない。。
田村:着たい服がね。
村上:着たい服がない。
田村:着たいときに着たいテンションの服がないみたいな。
一同:そうそうそう。
村上:こんなにあるのに。本当にかさばるし。絶対ミニマリストにはなれないなって思いながら、でもまた引っ張り出してきて着るんだよなっていう。
川勾:本当にそう。
芦田:でも2年着なければもう着ないって信じて、そのサイクルで捨ててたんですけど。確実に腐ってるのに絶対捨てれないって服は2着だけあってローライズの、今もうローライズ……もう超ローライズのが流行ってた時期があって、そのときのジーンズが。結局それが1回しか履いてないから、悔しくてとっといたんですよね。でももうその当時と私全然サイズが違うからそもそも入らないんだけど、ローライズだからギリ入っちゃうんです。
一同:(笑)
芦田:でもそもそもこのローライズのは誰も着てないじゃん、絞ってっていうのはもう捨てていいのにそれだけ絶対取ってるっていうのが確実に1個と、あと花柄のスカート。それももう丈、絶対この丈着ないだろっていう。
川勾:あーわかるー
芦田:だけどね、なぜかその2つだけは絶対捨てられなくて。でも確実に腐ってんですよ、絶対着ないと思うのに。
川勾:自分も履かないから……。
芦田:自分も履かないし、でも何かそれだけずっと取っといちゃうんですよ。
村上:でも、ある種のときめきが残ってるとかでも、ない……?
芦田:ないんですよ。悔しみしかないです。
一同:(笑)
藤真:私は逆で、何かときめいちゃって捨てられないっていう。
全員:あーうん。
藤真:買ったときの感じを全部覚えてるんです私、服って。貰ったこれは、何か例えば中学校上がるときにおばあちゃんが……。
一同:わかる、めっちゃわかる。
藤真:わかりますか? 今、大人になるからちょっといいブランドのワンピースとか買ってくれて、全然サイズは違うのに、見るとめちゃめちゃときめいちゃって捨てられないとか、なんか実家にある服もあるけど。
一同:うん。
藤真:とか、何かこう、このとき好きだった、あの、俳優さんが出てた舞台で買ったノベルティのTシャツ。
一同:ああ。
藤真:なんか本当にそういう当時の思いを全部覚えているから、なんかその、ときめきを腐る腐ってないの基準にするなら腐ってないのかもしれないけれども、確実にタンスの肥やしにはなってるから、めちゃめちゃあるなって思います。
川勾:あと私去年めちゃめちゃ似合った服が今年全然似合わなかったときどうしたらいいかわからない。
一同:あるある。
川勾:本当に超似合ってて、しかも結構派手で明るくて結構なんか、なんか挑戦じゃないけど似合ったことがすごい嬉しくて。で、次の年着てみたら全然で! でもこれは今年の私の何かが違うから来年はもしかしたら、みたいなことを思っちゃうと、ずっとねだからスッゴイ真っ赤のね、あの、タイトなニットのワンピースを捨てられないでいるのよ。
一同:へえー。
川勾:いや、多分ちょっと、でもそうだね、今年また着てみて似合わなかったら捨てようあれは。そうしよう、決別しようあれは。
田村:似合う服と好きな服のあれもなんかありません?
一同:あるある
田村:私はなんか結構肌を出した方が本当はいいみたいな、本当はその方が似合うみたいな、首元開いてた方が、結構すっきりして、ちょっと痩せて見えるよみたいのがあるんですけど、でもどうやってもオーバーサイズの服が好きで。ダブダブした服を着たいみたいな。だから一応似合う服として一定数持ってるんですけど、そういう首元の開いてる服とかを。でも着たい服は結局ダブダブのスウェットだから。
一同:うん。
田村:着ないけど、でもまあ、似合う服を着た方がいいときもあるんだよなと思ってずっとそこにいるみたいな。
一同:へえー。
田村:たまに着ると確かにすげえ痩せて見えるってなるんですけど、だからなかなか捨てられず、みたいなのもありますね。
藤真:常日頃毎日骨格を取り替えていきたいなと思います、本当に。似合う服が着たいし、毎日似合いたいっていうあれがありますよね。
作品へのより深いお話は後編をお楽しみに!
「服が腐る-2022AW-」は11月23日より開幕!現在予約受付中!
みなさまのご来場心よりお待ちしております!